マイヘアを聴くと付き合っていた恋人のことを思い出す。
いや、思い出したいのかもしれない。
My Hair is Badがメジャーセカンドアルバム『mothers』をリリースした。
前半は、前作を踏襲したようにロックな曲と恋愛の曲が入り混じる。
まず、「復讐」では殺したいほど好きだという思いを男性目線で激情的に、一歩間違えれば危ないまでもの滅茶苦茶な自分勝手の愛を叫ぶ。
「元彼女として」では別れているのに未だにダーリンと呼んでしまう、踏ん切りのつけられない女性目線をあっけらかんと空元気に歌う。とどちらの楽曲も今まで通りのマイヘア節が炸裂している。
だが、今作では今までとは違う変化があった。
それは「関白宣言」や「いつか結婚しても」、「こっちみてきいて」で明るくポップに今の彼女に向けた愛おしさを歌う曲が三曲もあるということだ。
過去の恋人を思い出すような曲が好きだったリスナーからしたら、ポップな曲に対して違和感を感じ、あまり良い思いをしないかもしれない。
しかし、今作では今を見つめた曲が必要なのだと作品を通して語りかけている。
それは、なぜだろうか。それは、時が止まらないからだ。
「熱狂を終え」で〈もう一瞬も止まらない〉や「シャトルに乗って」で〈時代は変わっていく〉と歌う。
そう過去に囚われて今まで生きて来たがそれでは自分の成長はおろか停止してしまっているのだ。そう自分は止まっても、時は止まらず、進んでいくのだ。
止まっていたら何も変わりっこしない。だから前に進めと椎木は私たちに問いかけているのではないだろうか。
過去を思い出して泣いてもいい。だけど前は向け、そして目の前にいる人を大事にしろというのが彼の思いなのだ。
これからもマイヘアを聴くと付き合っていた人のことを思い出したくなるだろ。いや勝手に思い出してしまう。
だけどこれからは、今を見つめて、今目の前にいる人を大切にしたい、過去の過ちを糧にして一歩ずつ進んでいこう。そんな風に少しでも前を向けるように成長させてくれた元カノは「mothers」なのだ。
『mothers』
1.復讐
2.熱狂を終え
3.運命
4.関白宣言
5.いつか結婚しても
6.元彼女として
7.僕の事情
8.噂
9.燃える偉人たち
10.こっちみてきいて
11.永遠の夏休み
12.幻
13.シャトルに乗って
HP
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MV
「いつか結婚しても」